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  • 執筆者の写真HOSHIBA YUMIKO

人生のQ&A室② イタいファッションを避ける方法

更新日:2020年6月3日


干場さんは、おしゃれですが、年齢を重ねると若く見せるため「イタい感じ」になってしまう方も多いなか、どんなことに気をつけていらっしゃいますか?



基本は、別に人目なんか気にしないで、自分が好きな格好をすればいいんじゃないですか、ということですが、そうすると、やはりセンス的にどうかな、という人が頻出するであろうことも事実で、そうはなりたくない一部の人であろう質問者に、お答えします。


中高年。男は髪の毛、女は洋服!?

あれは、50歳のとき、卒業以来初めての高校の同期会(クラス会ではなく同期会)があって、全卒業生450名のうち、約200名が集まったことがありました。450名中女子は80名という昔よくあったタイプの公立校です。

さて、50歳というと、男も女も、ちょうど見た目年齢の個体差がはっきりし始める頃。えーー!? 彼があんなんなっちゃって、、、、、! という方もいれば、あら、あんな格好いい人、いたっけ? みたいなナイスミドルも! そこで、親しい女子(といっていいのか!?)グループで出した結論を、すみません、炎上覚悟で申し上げれば──

男は髪の毛、女は洋服ね。

いまは、再生治療とかで薄毛もなんとかなるみたいなので、要するにお金よ、と言い放った強者もおりました。

まあ、わたしとしては、スキンヘッドも悪くないと思う、というか、ま、要するにどうでもよくて、それより、女子の服装については、たしかにお金だな、と納得してしまいました。

要するにお金!?

安いTシャツとジーンズで、あるいは、ペラペラの縫製の悪いポリエステルのドレスでも、素敵に見えるのが若さの特権。スタイルの良さと肌の艶があるから。いくら若い頃と体型が変わらなくても、若い人と同じ安い店で買ってはダメです(特に変わらないのが体重だけの場合は要注意。腰の高さ、バストの高さは、長年の重力の影響を受けています)。

雑誌で、娘とおそろい、ママとおそろい、なんて、姉妹みたいな母娘が載っていたりしますが、その場合、母親が娘の行く若い子向けの店で買っているのではありまん。娘が、母の行く高級店で買ってもらっているのです。娘の方が年齢不相応に高級な服を着ているということ。

仮に、母が娘の行く店で買う宇ケースがあったとしても、、、、、服の値段は、生地の質感と染色、パターン(型紙)に現れるのですが、質感と色は、雑誌やサイトではごまかせます。痩せていれば、パターンに欠陥があっても、そして、一瞬ポーズをとるだけなら、素敵に見えてしまいます。逆に言うと、雑誌やサイトなどを真似ても、リアルの場では通用しないわけです。

ヨーロッパのハイブランド商品からシンプルなモノを選ぶのが一番失敗しないのですが(ただし、ニット以外のプラダを除く)、それは、もともと中高年女性を主要顧客としているので、彼女たちが動きやすく美しく見えるようにデザインされているからです。

過剰はイタい、安物はイタイタしい

もちろん、超高級ブランドをイタく着てしまっているシニア女性もいます。その場合は、たいてい過剰だからです。帽子、靴、バッグ、ツイードジャケット、コスチュームジュエリー、ブローチと、すべてに頑張りすぎてしまっている。

写真に撮ると、案外それがよく見えたりしますが、現実に、その姿で歩いてこられると、思わず引きます。それが全身シャネルなら、なおさら(もっと悲惨なのは、全てがシャネルふうのコピーの場合ですが)。

鏡の前で、いったんフル装備したら、出かける前に、ひとつずつはずしていって、ほどよいところでおさめるといいと思います(わたしはそうしています)。この記事のイメージカットそのままでわたしが出かけるわけではありません(まず、手袋はやめるでしょうね。その代わり、赤いバッグ!)。

健康のためではなくて、長生きのためでもなく、 お洒落するために、スタイル維持!

さきほど、何でもないTシャツとジーンズでも素敵に着こなせるのが若さの特権、といいましたが、すると、こんな声が聞こえてきます。

あら、60代でシンプルなポロシャツやTシャツとチノパンでも、貧乏くさくなく、若々しく着こなしている人を知っているわよと。

確かにそういう人をわたしも知っています。わたしが見る限り、彼女たちには、共通点があります。

①適度に痩せている。

②姿勢がいい。

③媚びない。

④以前は、洋服にお金をかけていた。

①についてはいいですね。ただし、痩せすぎは、中高年の場合、太りすぎと同様にNGです。イタいというか、イタイタしい。

②について自信のない人は、背中が丸まっていると、自然にお腹も出てきますので、肩甲骨と体幹を整えるストレッチが必要でしょう。


③はとても大事。

人に媚びる人は、若さにも媚びます。つまり、若く見せようとすることにこだわる。自分が着たい服を着たいように着ると、それが世間一般には、年甲斐のないもの、だというのは、一向にかまわない。いい年して、なんていう陰口は、本当はうらやましがってる、やっかみだと思って無視すればいい。

でも、若い人の真似をしようとしたり、自分が若い頃に似合っていたものにこだわったり、若く見せようとしたりすると、イタくなります。

そうではなくて、今の自分の気分と美的感覚に正直に装うと、個性になります。ちょうど、わたしがイメージカットで持っている本の中に出てくる女性たちのように。


若さとは、媚びる対象ではなく、超越する対象です。

センスのない人はなぜセンスがないままなのか?


そして、④。最後の最後、結局、お金かよ、と言われそうですが、要するに、イタいかどうかを自分で感じ取れるセンスがあるかどうかということです。


以前、あきらかに服装をなんとかしてもらわないと、会社のブランドイメージが損なわれるといった社員3名のお洒落指導をオーナーから仰せつかって試みたことがありましたが、早々に挫折しました。

ポイントは、かれ自身が自分からお洒落をなんとかしたいとわたしに聞いてきてきたわけではない、という点です。もし、かれらが自分から習いたいと言ってきたのなら、成果はあったでしょう。でも、そうではなかった。なぜなら、かれらは自分では、自分のお洒落は悪くないと思っていたからです。たとえ、全世界がそう思っていないとして、本人はそう思っていた。なぜなら、センスのない人というのは、センスがないということに対するセンスがないからです。


だから、自分でイタい格好してきちゃったと、感じとれるなら、だいじょうぶ。磨くことができます。

そう、センスは、特に、ファッションセンスは、磨くことができます。わたしだって、まあ、たいしたことはないとはいえ少しはお洒落な方だとすれば、着道楽の両親の影響もあったとはいえ、やはり20代の女性誌ファッション担当編集者時代に訓練されてきた部分が大きい。そして、ああ、今日の格好失敗だった、ああ、イタかった、という心配を重ねながら、少しずつ学んできました。いまもです。

ファッションセンスも一つのスキルだからです。英語やプレゼンテーションのスキルと同様、磨くことができる。つまり、トレーニングが必要で、それには、コストがかかるのです。ある程度の、時間とお金を投資することが必要なのです。

その代わり、一度、投資してしまうと、一生モノのセンスとなります。値段やブランドに頼らず、上質なものを見分けられるようになりますし、今は安いモノを着ていても、いいものを知っているし、着こなせるという自信があって、それが自然な気品となって表れます。

わたしが20代の頃(なので、とんでもなく昔のことですが)、英語でも何でもひとつ身に付けるのにかかるお金はだいたい200万円といわれていました。いまなら、その倍ぐらいでしょうか。400万円というと驚くかも知れませんが、10年で400万円なら、毎月3万円ちょっと。みんな、それと知らずに着るものかけてきたであろう金額です。

自分はろくに投資もしないで、お洒落な人のことを、わたしだってあの人ぐらいお金をかければ、と言って、結局何もしないで、イタいなどとけなす人のことは相手にしないことです。そして、もし、自分がそちら側の人間に近いと感じたら、今からでも遅くない! 投資しましょう! ただし、10年は待ってられないだろうから、5年で、いや、2年ぐらいで(あなたの年齢によります)!?


着るものはアイデンティティ


最後に、先ほど、ボスから3人の社員のファッション指導を仰せつかったが挫折した、かれらは、自分はこれでいいと思っていたからだ、それではよくないということに対するセンスがないからだ、と言いました。それは本当にそうなのですが、さらに言えば、かれらも心の深層では、わかっていたんだと思います。でも、認めたくない。それを認めてしまったら、自分で自分を否定してしまうことになるから。お洒落になってもやっぱり持てない自分と直面するのがいやだったのかもしれません。


わたしは、ファッションというのは、ファストファッションのセンスのいい着回しとは別ものの、いわば、デザイナーの哲学をまとうことだと思っているので、それに関連して、フイッターで、「ファッションは死んだ」というツイートをしたら、激しく抗議され、淡谷炎上しそうになりました! 人は顔のことを言われる以上に、着るもののことを言われるのが嫌みたいです。自分を否定されたように感じてしまうようです。ファッションというのは、本人が認めると認めないとにかかわらず、人のプライド、アイデンティティと密接に結びついているように思います。


身につけるものに頓着しない人は、たかがファッションと言って、とかくお洒落フリークを馬鹿にしたがりますが、むしろ、そういう人ほど、着るものにこだわっている。正確に言うと、着るものにこだわらないことに、こだわっている。

ファッション大好き人間としていわせていただければ、たかがファッションだから夢中になれる、格好の遊びとできているような気がするんですけれどね。

ずいぶん、脱線してしまいました。ごめんなさい。答えになっているでしょうか?

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